(005)は、Porter’s Perfectionのみで主発酵後、秩父バーボン樽で1年間熟成させた原酒と、ブレタノマイセスで主発酵させたYarlington Mill原酒をブレンドしました。使用したブレタノマイセスはWyeast社の“3191-PC”。こちらはドイツエール株などを含む複数株によるベルリナーヴァイセブレンドです。
リンゴの栽培に1年、主発酵とバーボン樽熟成に1年、瓶内での熟成に2年、と畑から延べ4年を経て満を持してのリリースです。
バーボン樽に使用したアメリカンオークはフレンチオークと比べて年輪幅が広いため、短期間で樽成分抽出量が得られることから、熟成によって力強い樽感を獲得できます。秩父バーボン樽で1年間熟成した原酒は、初期の頃は樽のニュアンスが強すぎてバランスが崩れていましたが、ブレタノマイセスと一緒に瓶内で熟成させることでタンニンが絶妙な質感にまとまりました。
(005)は、クリアなオレンジ色でファームヤードのような土っぽさがあり、口に含めばリンゴ由来のアストレンジェンシー(渋味)が先行したあと乳酸が後続し、最後に木樽由来のビタネス(苦味)が追随するようなレイヤーの複雑さを感じさせてくれます。このように渋みと苦みの間に酸が顔をのぞかせるような複層的なニュアンスは珍しく大変面白いサイダーに仕上がっています。温度帯は8℃程度の低温からお召し上がりいただくのがおすすめです。
アストレンジェンシー(渋味)を有するPorter’s Perfectionと、ビタネス(苦味)をもたらす木樽。この2つのタンニンの質を探りながらじっくりとお楽しみください。