Son of the Smith Hard Cider 

“NIGHTHAWKS”

Spec

サノバスミス ナイトホークス

LOT: NH-2007A

Style: ホップサイダー / Hopped Cider

ALC: 7.0%

Apples: フジ、Yarlington mill

Yeast: ビール酵母(S. cerevisiae var. diastaticus and S. cerevisiae)

With: Our favorite German hops

Story

「NIGHTHAWKS」は、生食用品種のフジを99%使用して醸造したホップサイダーです。

歴史の長いサイダー業界において、生食用品種は醸造には不向きとされてきました。特にフジは、高糖度・低酸度・低タンニンという性質ゆえにハイアルコールで単調なエタノールが生成されやすく、産業発展の側面においては課題の一つにもなっています。このバッチの製造では、そんな来歴を持つフジをメインに使用することに。醸造技術とアイディアの両面からアプローチを仕掛けることで、高次元なハードサイダーをつくることを目指しました。

 

フジ特有のジューシーさと、やや高めなアルコール感をベースに、酵母由来の大地のニュアンスや胡椒のようなスパイシーさ、ホップ由来のメロンやマンダリンオレンジ系の香気などを凝縮してブレンド。さらに、独自製法で抽出した果実由来の渋みや雑味でそれらのバランスを整え、グラスの中での時間経過・温度変化を通じて、複雑なレイヤーや風味変化そのものを楽しめるよう仕上げています。

 

Edward Hopperは、大恐慌時代のアメリカでリアリズムを追及し、1940年代に発表した代表作「Nighthawks」にて、“夜更かしする個”を描きました。

大都会に潜在する孤独、長く続く夜中の郷愁、ひしひしと感じる他者との距離感や疎外感を、「ポップな孤独」として表現したのです。

 

一見華やかで賑わいのあるタップルームのパーティサイドにもきっと、哀愁と孤独の漂う「裏側」があるはず。そこでは一人ひとりが不安や葛藤を抱きながらも、濃密に丁寧に、そしてポップに時間を味わっていきます。

 

 

NIGHTHAWKSは夜更かしのお酒。

ひとりぼっちの時間に深く潜りたくなる、ハードサイダーの新しい地平。

 

素材由来の深みや変化を確かめるように味わいながら、ゆっくりとじっくりと夜更かしをお楽しみください。

Brewer's Note

日本におけるリンゴの生食用品種は、フレーバーカテゴリー上では「Sweets」に分類されます。その代表格であるフジは、酸分量が4.5g/Lより少なく、タンニンも2.0g/L以下の「Sweets」で、酸味もタンニンも少ないために醸造には不向きなのです。フジを主発酵に用いて高次元なサイダーを製造するために、私たちは酸味やタンニンを他の要素で補う必要がありました。

 

 

今回は2種類のビール酵母を使うことで、リンゴ酸以外の複雑な酸味と香りを取り入れました。さらに、独自技術で抽出した、果実自体に僅かに含まれるタンニンや雑味、ドイツ産のホップから抽出した苦味成分もプラス。2種類の酵母を同時に使うことで、温度帯変化によりホップのニュアンスが変わっていく仕上がりになります。

 

 

【参考資料】品種のフレーバーカテゴリー

Sharps: 酸分量 > 4.5g/L, タンニン分量 < 2.0 g/L

Sweets: 酸分量 < 4.5g/L, タンニン分量 < 2.0 g/L

Bittersharps: 酸分量 > 4.5g/L, タンニン分量 > 2.0 g/L

Bittersweets: 酸分量 < 4.5g/L, タンニン分量 > 2.0 g/L

By Long Ashton Research Station(LARS) in the UK in 1903.