Son of the Smith Hard Cider

“All by homies”

Spec

サノバスミス オールバイホーミーズ

LOT: AL-2309A

Style: フレッシュホップサイダー / Fresh Hopped Cider

ALC: 7.5%

Apples: フジ、ドルゴクラブ、シナノリップ

Yeast: Wild Yeast, Lactobacillus, Capri

Hops: Fresh Hops(Homegrown Cascade and Nugget)、Aging hop

With: Delaware(Domaine Oyamada, 山梨市万力 西山地区)

Story

サノバスミス All by homiesは年に一度の収穫を祈念した特別なバッチ。

今作は延べ100名以上の人々が関わり、各々が季節の畑に向って農業を楽しみながら完成したサワースタイルのフレッシュホップサイダーです。

 

山梨県勝沼の著名ワイナリーDomaine Oyamadaの収穫をお手伝いさせていただき、そこで排出されたデラウェアの搾汁残渣を発酵させ、本バッチの原酒へブレンドしました。

季節の酸味を獲得するため、酸度が高くアセロラのようなニュアンスを持つ真夏のリンゴ:ドルゴクラブを1t以上非加熱搾汁し乳酸発酵を含む複数酵母の働きを活かしてこれを主発酵。そして、70名以上の仲間と共に自社栽培したCascade・NuggetホップをLate Harvestし、さらにフレッシュホップ特有の青臭さを排除するためハンドピックで選別を行い完熟したホップのみをドルゴクラブ原酒へとドライホッピングしました。

これらの2液をブレンド・チューニングして完成したのがAll by homiesです。

 

ドルゴクラブや酵母由来の酸味や香り、マセラシオンしたデラウェアの芳醇な香りが内包されたサワーなフレッシュホップサイダーを、畑の風景を想像しながらお楽しみください。

 

全ての食品に関わる原材料は一次産業に基づいていて、生産者の工夫や努力、そしてそれを強く支えてくださる数多くの仲間の協力があって成り立っています。毎年異なる自然環境条件のもと、100%同じものは二度と生産できません。

全てが永遠のようで一瞬。あの香りがする青春をずっと追いかけるように、また来年も再来年もみんなで畑や樹々に向き合っていきます。

 

関わってくださった全てのHomiesに心からの感謝を!

Brewer's Note

今回のバッチDomaine OyamadaBOW! 白で使用されているデラウェア(山梨市万力, 西山地区)の甘味と酸味、フレッシュホップ特有の渋みをより体験して欲しいので、炭酸の量はサノバスミス史上一番弱い設定(GV:1.8)でボトリングしました。スティルワインのように口の中で転がして渋みを探ってみて下さい。

 

大量のフジに酸度の高いドルゴクラブと熟成ホップを組み合わせた原酒を使用。フジは醸造に不向きであると言われている理由は、酸味や苦渋みがほとんどないからです。このフジを使ったサイダーに複雑な酸味や苦渋みを組み合わせたらどうなるのかを常に考えて、今までに様々なフジベースのサイダーを醸造してきました。サイダー醸造におけるフジの有効活用方法の模索は永遠の課題です。

 

今回のテーマは、「デラウェアのフォクシー香(狐臭)に、熟成したフレッシュホップを掛け合わせたらどうなるのか」です。デラウェアの特有香であるアントラニル酸エステルのメチルアンスラニレート(通称ラブルスカ香)は、日本ワインの主力葡萄品種(ラブルスカ系の甲州、マスカットベリーA、デラウェア等)に含まれる甘い香りの成分です。つまり、日本ワインの特有のフォクシー香ですが、フランスではオフフレイバーに認識するといわれ、ビニフェラ系のメルローやシャルドネ、ピノノワールには含まれない成分になります。このメチルアンスラニレート、実はリンゴの必須フレイバーの主成分の一つであり、フレッシュホップと組み合わせたら、サイダー全体のバランスが取れるのではないかと考えました。メチルアンスラニレートは揮発性が非常に高いアロマになりますが、フレイバーに溶け込ませると、dry(SG:0.997)でも甘味を感じます。とっても不思議ですよね。

 

Domaine Oyamadaさんのぶどう収穫をお手伝いした時の打ち上げで飲んだBOW! 白(デラウェア)にも甘味を感じました。このパイナップルキャンディーのような甘味はAll by homiesでも表現できています。そのほか、酸味はサイダーでは感じることのないぶどう特有の酒石酸をベースに、乳酸菌由来の乳酸やリンゴ酸を感じます。     

 

今年のサノバスミス産カスケードは、(乾燥したものだと)紅茶やセスキテルペンの香りが全快で、木やスパイスの様なニュアンスが強く、リーフを割いてルプリンを嗅げばシトラシーな香りがします。フレッシュホップは青臭さが特徴と言われていますが、未熟なホップをきちんと選別して熟したホップのみを収穫すれば青臭さはほとんどありません。フレッシュホップを真二つに割いてルプリンをむき出しにし、20℃で5日浸漬させたフレッシュホップサイダーは青臭さをほとんど感じない、とても素晴らしいシトラシーな出来栄えです。苦みはほとんどなく、渋みのニュアンスは特に乾燥ホップにはない味わいです。

 

フレッシュホップの可能性は今後リリースするサイダーでも探っていくつもりです。第一弾、ブドウ粕 × フレッシュホップサイダーのポテンシャルを味覚で体感してみて下さい。

 

 引用文献 1): 石川県農林総合研究センター農業試験場研究報告31: 17~28 (2015)