Son of the Smith Hard Cider

“B H”

Spec

サノバスミス ビーエイチ

LOT No. BH-2609A
Style: フルーツサイダー / Fruit-Infused Cider
ALC: 7.0%
Apples: Shinano Sweet, Shinano Lip, Shinano Dolce, Dolgo crabapple, Fuji.
Yeast: Wild Yeast
Loquat: Obusa, Mizuho, Tomifusa
Sour cherry: Northstar
With: Fresh Hop Homegrown Cascade 2026

Story

サノバスミス BH は、リンゴ・枇杷(ビワ)・サワーチェリーの 3 種の果物を一緒に発酵させたフルーツサイダーです。今作は、『ALE & BOOKS & CIDER 2026』に向けて醸造したサイダーです。


『ALE & BOOKS & CIDER』は、「読書のおともにしたいビール&サイダー」を提案する企画です。こちらは、奈良醸造の呼びかけにより始まったムーブメントで、新しい飲酒・読書体験の広がりを生み出すことを目的としています。クラフトビールやハードサイダーの醸造所が「読書に合うお酒」を醸造し、おすすめの書籍とともに提案することで、秋の読書週間を楽しんでもらう企画となっています。


リンゴは、シナノスイート・シナノリップ・シナノドルチェ・ドルゴクラブ・フジの 5 品種を使用、ホップには、サノバスミス 2026 年産のフレッシュカスケードを使いドライホップで仕上げました。枇杷は千葉県の房総半島で育てられた、果樹 叶さんの大房・瑞穂・富房の 3 品種を、サワーチェリーは、長野市のやまさ農園さんのノーススターを使用しました。


BH をグラスに注いだ瞬間に立ち上るのは、甘酸っぱいチェリーとアーモンドを思わせる甘く華やかなアロマ。サワーチェリー特有の熟したチェリーのような深みと甘香ばしい香りがふわりと鼻腔をくすぐります。


ひとくち口に含むと、スパイシーなクローブのアクセントに加え、枇杷ならではのみずみずしく野性味あふれる味わいが心地よく重なります。さらに、ホップ由来の上品で爽やかな香味が全体をやさしく包み込み、果実・スパイス・ホップが織りなす奥深いハーモニーへと変化していきます。


単なるフルーティーさにとどまらない、複雑で立体的な味わいが魅力の BH。読書のお供にはもちろん、ゆったりとした音楽に揺れて過ごす特別な夜のひとときに、じっくりとグラスを傾けてお楽しみください。

Brewer’s Note

サワーチェリーの香りの中心はベンズアルデヒド1)で、アーモンドやチェリーを思わせる香りです。そこにスパイシーなクローブのような香りも感じられます。さらに枇杷の野性味ある味わいが重なり、ホップ由来のチオールの香りともよく調和します。

今回のキーポイントは、枇杷とサワーチェリーを種ごと発酵させたことです。枇杷の種の揮発成分は、大半がベンズアルデヒドでした2)。種を粉砕して細胞壁が壊れると、アミグダリンとエムルシンが接触して

加水分解され、ベンズアルデヒドが生じます。アンズやウメの種子でも、ベンズアルデヒドが主成分だと報告されています。サワーチェリーの核に含まれるアミグダリンも、分解されるとベンズアルデヒドを生じます。このように、異なる果実の種から共通の香りが生まれることが、今回の組み合わせの特徴です。

種ごとの発酵は香りの輪郭を強める可能性があり、種のもたらす力強さが液体の骨格として感じられます。3 つの果実を野生酵母で発酵させる組み合わせは 3!=6 通り。同じ収穫期の果実を合わせることで、果実ごとの個性が豊かに重なり合っています。

Bernard Lahousse らが広めた、フードペアリング理論の「共通する香り分子を持つ食材同士は相性がよい」という考え方を、一つの液体で体現できたと思います。この理論を最初に提唱したのは、シェフの Heston Blumenthal(The Fat Duck)と、フレーバー専門家の FrançoisBenzi(Firmenich)です。今年の 3 月に、Blumenthal がロンドン近郊の Maidenhead で営むレストラン The Fat Duck を訪れ、ペアリングのコースを体験しました。この経験が、今回の製品づくりに生きています。


Rreference

1. Zlatić E, et al. Int J Food Prop. 2017;20:S449–S456.

doi:10.1080/10942912.2017.1299175

2. Henmi A, Shoji M, Nomura M, Inoue T. J Oleo Sci. 2019;68(7):599–606.

doi:10.5650/jos.ess18178